そもそも賃貸契約とは
アパートなどの不動産を借りるとき、家賃だけ払っても借りることはできません。不動産を賃貸する場合は、賃料のほかに礼金や敷金などが必要になります。また契約の条件などによってはさらに資金が必要になります。例えば家賃の支払い方法が前家賃の場合は、1ヶ月分の家賃が必要ですし、契約月の月末までの家賃として最大1ヶ月の日割家賃を支払わなくてはならない場合があります。また、不動産会社に支払う紹介料として仲介手数料や契約に火災保険の加入が義務付けられている場合は、保険料もかかります。そして入居時に鍵を新しいものに変更した場合など鍵交換費用が発生します。最近では礼金や仲介手数料がゼロという不動産会社などがありますが、アパートなど不動産の引越しについては基本的に資金が必要になるということです。
戸建て物件やマンションやアパートなど不動産を賃貸した場合、中には何十年も住み続ける人もいるでしょう。しかし、賃貸物件に長期間住み続けるには契約の更新が必要になります。そして契約の更新を行うと更新手数料がかかります。そのため契約更新の時期に合わせて引越しを考える人が多くいます。その引越しのときに注意したいのが敷金です。
敷金は預け金です
不動産を借りたときに家賃以外にいろいろな手数料を支払いますが、それらの中で家賃、または手数料は、原則として返却はされません。しかし、敷金とは、預け金であり、賃借人の賃料支払債務を担保するものです。そのため引越による賃貸借契約終了時には返却されるのです。ただし全額返却されるかどうかは実際の状況や契約によります。例えば、滞納家賃がある場合、その滞納家賃が敷金から差し引かれます。また契約書に退去時に原状回復費や補修費用が請求されることが明記されている場合は、敷金からその金額は差し引かれます。
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知っておきたい、敷金のあれこれ
敷金は引越しによって賃貸借契約が終了するときに返却されるものですが、ところがこの敷金の返却については経年劣化・通常損耗(自然損耗)、原状回復費の妥当性などが問題になることがあり、引越しにおける懸案事項のひとつなのです。原状回復費などは不動産知識に乏しいため退去前に管理会社から敷金を請求されて払ってしまったというケースもあります。そのため、敷金については契約書を確信したり、引越し会社の立会人サービスの利用など、敷金を取り戻すための対処法をあらかじめ知っておきたいものです。
例えば経年劣化・通常損耗(自然損耗)です。経年劣化とは時間の経つことによって価格は減少するという考え方で、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によれば「経年変化、通常の使用による損耗(自然損耗)等の修繕費用は賃料に含まれる」となっています。そのため、住めば住むほど負担割合が小さくなるのです。過失によって畳などを汚し、取り替えたとしても、経年劣化した分を差し引いた額だけを負担すればいいということです。
引越し時の敷金のトラブルについては、引越し会社の立会人サービスといった対処法もあります。引越し会社の立会人サービスとは、引越し時に引越し業者が立会人となって畳の汚れや壁紙の汚れ、破損していないかなど部屋の状態を確認しチェックリストを作成するサービスです。このチェックリストによって原状回復費が妥当かどうか専門家が判断して敷金の返還の交渉を行うことができます。もちろん、業者だけでなく、自分自身でもクリーニングの有無など部屋の状態などを確認するようにしましょう。
しかし、そうした確認や対処を行って原状回復費などに納得がいかない場合があるでしょう。また契約内容と相違がある場合もあります。この場合は大家との話し合いを行うことになります。
なお、敷金は関東と関西で名称が異なり、関西では保証金と呼ばれます。敷金の場合、原状回復費などをどちらが払うのかトラブルになりがちですが、保証金の場合、保証金のうち○ヶ月分、または○%といったように返却率が決められているためトラブルになりにくくなっています。